【2026年】職場の熱中症対策が義務化!罰則とエイジフレンドリー補助金の活用法を解説

「2025年から熱中症対策が義務化されたが、自社の対応で不備がないか心配」「日々の業務に追われ、対策の体制づくりや施策変更まで手が回らない」と悩んでいる経営者や労務担当者も多いのではないでしょうか。

2025年6月に改正労働安全衛生規則が施行され、一定の条件を満たす作業をおこなう企業には、業種を問わず熱中症対策が義務付けられました[1]。施行開始から1年が経過し、対応の有無が企業側の責任として問われる段階に入っています。

一方で、限られた人員で熱中症対策を進めたり、必要な機器を揃えたりすることは、中小企業にとって人手と費用の両面で負担となります。そこで、厚生労働省が主管となり、財政的に支援する「エイジフレンドリー補助金」を活用すれば、費用負担を抑えることが可能です[2]。

この記事では、健康経営®を支援する専門家の立場から、2026年における熱中症対策の義務化内容と罰則、エイジフレンドリー補助金による費用負担を軽減する方法について解説します。自社だけで熱中症義務化に対応することに不安がある方は、ぜひ参考にしてください。

【2026年】職場の熱中症対策が義務化!罰則とエイジフレンドリー補助金の活用法を解説

2025年から義務化された職場における熱中症対策の概要

職場における熱中症の増加が義務化の背景

WBGT28度・気温31度以上の作業が義務化の対象

施行1年で職場の熱中症死亡者は前年から約4割減少

企業に義務付けられた3つの熱中症対策

対策①:報告体制の整備

対策②:重篤化を防ぐ実施手順の作成

対策③:関係作業者への周知

義務違反に科される罰則と労災時の企業責任

6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

罰則にとどまらない損害賠償・安全配慮義務違反のリスク

義務化対応を進める5つのステップ

熱中症のリスクは高年齢労働者で高い

体温調節機能の低下と自覚症状に対する自覚の乏しさ

高齢の労働者ほど重篤化しやすい労災の現状

エイジフレンドリー補助金の利用で熱中症対策費が国から補助される

補助対象は60歳以上の労働者を雇用する中小企業

熱中症対策コースは補助率1/2・補助金上限は100万円

補助金制度は年度内の受付期限と補助金予算上限が設定されている

補助金申請と熱中症対策は専門家へ相談しましょう

まとめ:義務化対応は補助金の活用で負担を抑えて確実に

熱中症対策の義務化に関するよくある質問(FAQ)

熱中症対策義務化にはいつから対応すればいいですか

オフィスワーク中心の会社でも義務化の対象になりますか

エイジフレンドリー補助金は熱中症対策以外にも使えますか

参考文献

目次

2025年から義務化された職場における熱中症対策の概要

職場の熱中症対策は、2025年6月1日に施行された改正労働安全衛生規則により、企業の法的義務になりました[1]。義務化の目的は、熱中症のおそれがある労働者を早期に見つけ、迅速かつ適切に対処し、重篤化を防ぐことです[3]。

ここでは、義務化の背景、対象となる作業の基準、施行から1年で見えてきた効果を解説します。

職場における熱中症の増加が義務化の背景

義務化の背景には、職場で熱中症により死亡したり、休業したりする労働者の増加があります。2024年の職場における熱中症による死傷者数は1,257人で、前年から約14%増加し、死亡者数は31人にのぼりました[4]。

また、全体の約4割は建設業と製造業で発生しており、屋外や高温環境での作業現場に被害が集中しています[4]。猛暑が常態化するなかで被害の拡大に歯止めがきかず、職場の熱中症対策は罰則を伴う法的義務へと強化されました。

WBGT28度・気温31度以上の作業が義務化の対象

義務の対象は、WBGT(暑さ指数)28度以上または気温31度以上の環境で、一定時間以上の実施が見込まれる作業です[1]。

WBGTとは、気温・湿度・日射など周辺の熱環境という3つの要素から算出される熱中症を予防するための指標です[5]。単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されますが、その値は気温とは異なります[5]。

WBGTが28を超えると熱中症患者が著しく増加することがデータで確認されており、義務化の基準には医学的な根拠があります[5]。義務の対象となる具体的な基準は以下のとおりです。

基準内容
温度の基準WBGT28度以上または気温31度以上
時間の基準継続して1時間以上、または1日あたり4時間を超える見込み

この2つの基準を満たす作業が見込まれる場合、企業は業種を問わず対策を講じる義務を負います[1]。

自社の作業が基準に該当するかを判断するには、WBGT値の正確な把握が欠かせません。3つの要素のうち日射や輻射熱は気温や湿度の測定だけでは反映できず、黒球と呼ばれる球体の装置で測る必要があります[6]。

そのため、厚生労働省は黒球を備えたJIS規格準拠のWBGT指数計を作業場所に配備し、実測することが望ましいと示しています[7][8]。導入にあたっては、製品によって数万円程度の費用負担を見込んでおきましょう。

黒球のない簡易型の製品は、屋外など輻射熱の強い環境で値が実際より低く表示されることがある点に注意してください[8]。

施行1年で職場の熱中症死亡者は前年から約4割減少

2025年の職場における熱中症による死亡者数は19人で、前年の31人から約4割減少し[9]、義務化された対策は確かな成果を上げています。厚生労働省も、改正規則の施行で事業場の重篤化防止対策が進み、死亡災害の防止が一定程度図られたと評価しています[9]。

一方、同年の死傷者数は1,803人と統計開始以来最多を記録しており、熱中症の発生そのものは減っていません[9]。それにも関わらず、死亡者数が減っていることの背景には、熱中症を発症した際の対応手順と報告体制が、重篤化を防いだと考えられます。

熱中症対策の義務化は発症を0件にするための規制ではなく、起きてしまった異変を命に関わる事態にしないための仕組みと捉えておくとよいでしょう。

企業に義務付けられた3つの熱中症対策

改正労働安全衛生規則で企業に義務付けられた対策は、以下の3点です[1]。

  • 報告体制の整備
  • 重篤化を防ぐ実施手順の作成
  • 関係作業者への周知

いずれも大がかりな設備投資は必要ありませんが、実際には誰に報告させ、何を手順書に落とし、どう全員へ伝えるかを、現場の実態に合わせて作り上げる作業は容易ではありません。ここでは、3つの義務内容についてそれぞれ解説します。

対策①:報告体制の整備

1つ目の対策義務は、熱中症の自覚症状がある作業者や、そのおそれがある作業者を見つけた人が円滑に報告できるための体制整備です[1]。

具体的には、報告先となる連絡先や担当者を事業場ごとに定め、関係者へ知らせておく必要があります[1]。たとえば、建設現場であれば現場監督、製造業の工場であれば各ラインの責任者が該当します。

「誰に・どのような方法で知らせるか」を現場単位で決めておくことで、熱中症による異変が起きた際の初動が早まり、重篤化を防ぐことにつながります。従業員の体調異変に気がついた現場責任者が迷わず迅速に対応できるよう、事前に仕組みを整えておきましょう。

対策②:重篤化を防ぐ実施手順の作成

熱中症の疑いがある従業員が出た際、取るべき対応手順をあらかじめ作成しておくことも対策義務として規定されています[1]。事業場ごとに、以下の内容について定めておく必要があります[1]。

  • 作業から離脱させる方法
  • 身体を冷却する手段
  • 医師の診察または処置を受けさせる方法
  • 緊急連絡網と搬送先の連絡先・所在地

熱中症の重篤化を防ぐには、発見から対処までの時間を短くすることが欠かせません。緊急時は冷静な判断が難しくなるため、事前に手順を書面にまとめておくことで誰が対応しても同じ行動が取れるようになるでしょう。

対策③:関係作業者への周知

3つ目の対策義務は、整備した報告体制と作成された実施手順を関係作業者へ周知することです[1]。現場で実際に作業にあたる従業員に報告体制や熱中症の重篤化を防ぐための手順が伝わっていなければ、対策は機能しません。

周知の方法としては、朝礼での説明や休憩所への掲示、安全衛生教育での共有などが有効です。本格的な暑さを迎える前に、企業における熱中症対策内容を振り返る場を設けておくと、新規の従業員にも企業の体制を自然と伝えることができるでしょう。

ただし、周知すべき内容が明確でも、自社の現場に落とし込み、従業員へ浸透させるまでには相応の時間を要します。熱中症対策の進め方に迷う場合は、外部の専門職に相談したり、対策を依頼したりすることも有効な手段のひとつです。

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義務違反に科される罰則と労災時の企業責任

熱中症対策の義務に違反した企業には、刑事罰が科されるだけでなく、労災が起きた場合に罰則とは別に民事上の損害賠償責任を問われるリスクもあります。ほかにも行政上の処分や社会的信頼の低下など、企業イメージを損なう事象につながりかねません。

リスク内容
刑事責任拘禁刑・罰金などの刑事罰
民事責任安全配慮義務違反による損害賠償
行政上の責任労働基準監督署による是正勧告や指導
社会的信用の低下労災の発生や報道による企業イメージの悪化

ここでは、罰則の内容と罰則にとどまらない企業責任のリスクについて解説します。

6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

熱中症対策の義務に違反した場合、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性があります[10]。義務の根拠である労働安全衛生規則第612条の2に違反すると、労働安全衛生法第22条第2号違反となり、同法第119条第1号により罰則が適用されます[10]。

なお、2025年6月1日に施行された刑法の改正で「懲役」「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されています[11]。

罰金の上限は50万円と比較的低額であるものの、罰則を受けることで企業の社会的信頼を失う可能性があるため、義務化された対策を遵守してください。

罰則にとどまらない損害賠償・安全配慮義務違反のリスク

罰則のほかに企業側がかかえるリスクは、安全配慮義務違反による損害賠償です。企業は労働契約法第5条により、従業員が生命や身体の安全を確保しながら働けるよう配慮する義務を負っています[12]。

熱中症対策を怠った結果として従業員が発症した場合、債務不履行(民法第415条)または不法行為(民法第709条)にもとづく損害賠償責任を問われる可能性があります[13]。

実際に、職場の熱中症をめぐり約4,800万円の損害賠償が命じられた裁判例があります[14]。船舶修理会社の従業員が海外出張中の補修作業で熱中症により死亡した事案で、裁判所は会社の安全配慮義務違反を認めました[14]。

注目すべきは、会社が冷房の効いた休憩室や飲料、塩分補給用の軽食まで用意していたにも関わらず、WBGTの測定や作業中の巡視・体調確認を怠ったことが義務違反と判断された点です[14]。

職場で発症した熱中症は、業務上の疾病として労災保険の対象に位置づけられているため[15]、実効性のある対策で従業員と会社の双方を守ることが重要です。対策費用の負担や進め方に不安がある場合は、専門家のサポートを受けることを推奨します。

義務化対応を進める5つのステップ

熱中症対策の義務化に対応していくためには、以下の5つのステップに沿って順に進めていきましょう。

手順内容
1:義務化の対象か確認自社の作業が基準(WBGT28度・気温31度など)に該当するか確認する[1]
2:報告・連絡先の決定熱中症の報告先と連絡方法を決める[1]
3:対応手順の明文化離脱・冷却・搬送までの対応手順を書面にまとめる[1]
4:従業員への周知朝礼や掲示で全作業者に周知する[1]
5:対応手順の運用と見直し作成した手順を現場で実際に運用し、状況に応じて見直す[1]

5つのステップの内容自体は難しくありません。しかし、通常業務と並行しながら、これらを自社の現場に合う形へ落とし込む点には実務上の負担となることが現状です。社内の人手だけで進めることが難しい場合は、専門家と一緒に進める方法を検討してください。

熱中症のリスクは高年齢労働者で高い

職場の熱中症対策のなかでも注意すべき点は、高年齢労働者のリスクです。高年齢者は若年労働者に比べると、加齢に伴う身体的変化から熱中症を発症しやすいと報告されています。

一方で、人手不足を背景に60歳以上の従業員を雇用している中小企業は少なくありません。ここでは、高年齢労働者が熱中症を発症しやすい理由と高年齢者における労災発生について解説します。

体温調節機能の低下と自覚症状に対する自覚の乏しさ

高年齢労働者は加齢に伴い体温調節機能が低下し、さらに自覚症状も乏しくなるため、熱中症を発症しやすくなります。高年齢者における主な身体的特徴の変化は以下3点です。

  • 暑さを感じにくくなる
  • 体温調節機能が低下する
  • 脱水を起こしやすくなる

加齢による身体機能の変化でのどの渇きといった自覚症状が乏しくなり、周囲の気温が上昇しても暑さに気づきにくくなります。加えて皮膚の温度センサーも鈍くなり、汗を介した熱放散がしづらくなり、体内に熱がこもりやすくなる点が高年齢者の特徴です[16][17]。

ほかにも、加齢とともに体内の水分量は減少する傾向にあり、脱水を起こしやすくなる点も若年労働者との身体的特徴の違いです[16]。

高年齢者労働者の自覚症状や感覚に頼った対策には限界があります。周囲が異変に気づける体制を整えたり、熱中症のリスクを客観的に判断できる機器を導入したりすることが高年齢労働者を守るうえで重要です。

高齢の労働者ほど重篤化しやすい労災の現状

高齢になるほど熱中症が重篤化しやすい実態は、統計にも表れています。日本全体の熱中症による死亡者の約8割は65歳以上で[17]、2025年の職場における熱中症死傷者数は1,803人でした[9]。

この状況をふまえ、高齢労働者が安全に働けるよう国から企業に対して暑熱環境での熱中症予防策を義務化したことがしています。あわせて、高年齢者の身体機能低下を補う装置を導入するよう企業側へ経済支援を進めています。

エイジフレンドリー補助金の利用で熱中症対策費が国から補助される

エイジフレンドリー補助金は、高年齢労働者が働きやすい職場づくりを支援する厚生労働省の補助金制度です[2]。60歳以上の従業員を雇用する中小企業であれば、熱中症対策の機器導入などにかかる費用の補助を受けられます[2]。

ここでは、対象となる企業の要件・補助の内容・申請期間を解説します。

補助対象は60歳以上の労働者を雇用する中小企業

エイジフレンドリー補助金の対象は、60歳以上の高年齢労働者を雇用する中小企業です[18]。具体的には、以下の要件をすべて満たす必要があります[18]。

  • 1年以上事業を実施している
  • 労災保険が適用される60歳以上の労働者(役員を除く)が常時1名以上働いている
  • 高年齢労働者が熱中症対策の対象となる作業に就いている
  • 業種別の中小企業要件を満たしている

中小企業に該当するかどうかは、以下の表で示した業種ごとに労働者数または資本金で判断します[19]。

業種労働者数資本金
小売業(飲食店を含む)50人以下5,000万円以下
サービス業(医療・福祉、宿泊業、教育など)100人以下5,000万円以下
卸売業100人以下1億円以下
その他の業種(製造業、建設業、運輸業、農業など)300人以下3億円以下

労働者数と資本金は、いずれか一方を満たせば中小企業に該当します[19]。申請前に自社が要件を満たすかを確認しておきましょう。

熱中症対策コースは補助率1/2・補助金上限は100万円

エイジフレンドリー補助金の熱中症対策コースでは、対策にかかる経費の2分の1、上限100万円の補助を受けられます。ただし、補助金の対象は高年齢労働者における身体機能の低下を補う装置や機器の導入と冷却機器を稼働させるために必要な設置・配線工事に限られます[19]。

補助対象となる機器は、以下のとおりです。

  • ファン付き作業服など体温を下げる機能のある服や装備
  • 作業場や休憩場所に設置する移動式スポットクーラー
  • アイススラリーや保冷剤を冷やす専用の冷凍ストッカー
  • 深部体温を推定でき、管理者側で集中管理できるウエアラブルデバイス

ファン付き作業服のように労働者ごとに使う機器の補助は、60歳以上の労働者の人数分が上限です[20]。熱中症対策が義務化されたとは言え、機器の導入費用は中小企業にとって重い負担になるため、エイジフレンドリー補助金制度を活用し、整備していくことを推奨します。

なお、エイジフレンドリー補助金の対象となる機器は明文化されていることに加え、年度ごとに見直されます。以下の表に対象外の機器をまとめているので、参考にしてください。

対象外となる機器理由・備考
WBGT指数計2026年度は対象外
事務室や作業場へのエアコン設置建物の設備投資となるため対象外
扇風機・送風機・サーキュレーター体温を下げる機能がないため
気化式冷風機・水冷式エアコン・大容量スポットクーラー移動式・熱排気の要件を満たさないため
アイススラリー・保冷剤・スポーツドリンク消耗品は対象外
遮熱塗料の塗布や断熱材の工事建物の改修工事は対象外
リース代金購入のみが対象

WBGT指針計は、制度の年度見直しにより2026年度は対象から外れました[20]。今後も対象機器や補助金上限の見直しが入る可能性があるため、エイジフレンドリー補助金の利用を検討している場合は、迅速に申請へと進めましょう。

補助金制度は年度内の受付期限と補助金予算上限が設定されている

2026年度の交付申請受付期間は、2026年5月20日から10月31日までに設定されています[19]。ただし、交付決定額が予算に達した場合は、受付期間の途中でも締め切られます[19]。補助金活用を進める場合は、早めに申請手続きに動くことが重要です。

申請から機器導入までは、以下の流れで進みます[19]。

  1. Jグランツ(補助金電子申請システム)、または郵送で交付申請をおこなう
  2. 事務局の審査を経て交付決定を受ける
  3. 交付決定後に機器の購入や工事の発注を進める

メールや宅配便による申請書類の提出は認められていません[19]。また、交付決定日より前に発注した機器や工事は補助の対象外となるため、注文のタイミングには注意が必要です[20]。

交付申請では、事業の実施期間や60歳以上の労働者の就労状況など、対象要件を満たしていることを申請書類で示す必要があります[18]。書類の準備から交付決定までには数カ月要する可能性があるため、余裕のあるスケジュールを組みましょう。

補助金申請と熱中症対策は専門家へ相談しましょう

補助金の申請と熱中症対策の体制づくりは、制度と労働衛生の両方に精通した専門家に相談し、伴走してもらいながら進めることを推奨します。

補助金の申請では、対象事業者の要件や補助対象機器の判定、交付決定前の発注禁止など、押さえるべきルールが複数あります[2]。また、発注のタイミングを誤れば、補助金そのものを受けられないほか、書類の不備で審査に通らず、想定以上に時間を要する可能性もあり得ます。

熱中症対策に関しても、機器を導入すれば義務化要件を満たしたとは判断されません。実際の裁判例が示すとおり、休憩室や飲料を用意していても、WBGTの測定や体調確認の仕組みがなければ、安全配慮義務を果たしたと認められない場合があります[14]。

本来の業務と並行してこれらに対応することは、人手の限られた中小企業の担当者にとって相当な負担になります。補助金の申請を着実に進め、実効性のある対策につなげるためには、外部の専門家の力を借りる方法が有効です。

まとめ:義務化対応は補助金の活用で負担を抑えて確実に

2025年6月の改正労働安全衛生規則の施行により、企業には熱中症対策が義務付けられました[1]。その結果、施行から1年で職場の熱中症による死亡者数は約4割減少し、従業員の命を守る効果を発揮しています[9]。一方、義務違反には拘禁刑や罰金が科される可能性があり[10]、労災が起きれば数千万円規模の損害賠償につながった裁判例もあります[14]。

熱中症対策における費用負担には、エイジフレンドリー補助金の熱中症対策コースの活用が有効です[2]。申請は2026年10月31日までで、予算に達すると早期に締め切られるため、早めに行動へ移す必要があります[2]。

義務化への対応と補助金申請の進め方に悩んだり、負担を感じたりした場合は、担当者や自社だけで抱え込まず、専門家に相談することがおすすめです。

BizWellyでは、健康経営®の専門家が補助金の活用から熱中症対策の体制づくりまで伴走支援をおこなっています。具体的な支援内容は以下のとおりです。

  • 産業医・保健師・理学療法士など国家資格を持つ専門職による支援
  • ヒアリングと現場確認による健康課題・作業環境の整理
  • 成果にこだわるPDCA設計と月次レポートで状況を見える化
  • エイジフレンドリー補助金の活用を見据えた対策計画づくりと申請準備の相談
  • 報告体制・実施手順づくりから従業員への周知まで実行支援

BizWellyは従業員2〜100名規模の中小企業への支援を得意としています。何から手をつければよいかわからないという段階でも、現場の状況を伺ったうえで必要な対応を整理してご提案しますので、お気軽にご相談ください。

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熱中症対策の義務化に関するよくある質問(FAQ)

職場における熱中症対策の義務化について、よく寄せられる質問へ回答します。

熱中症対策義務化にはいつから対応すればいいですか

熱中症対策の義務化はすでに施行されているため、未対応であれば、すぐに準備をはじめる必要があります。

実際に暑さが厳しくなる前から体制と手順を見直しておくことで、熱中症の発生がピークを迎える前に従業員への周知まで完了できます。エイジフレンドリー補助金を活用する場合は、交付決定後でなければ機器を発注できないため、受付開始直後の春から初夏にかけての申請を推奨します[20]。

オフィスワーク中心の会社でも義務化の対象になりますか

必ずしも義務化の対象とは限りません。対象かどうかは、WBGT28度以上または気温31度以上の環境で、継続1時間以上または1日4時間を超える作業が見込まれるかで判断します[1]。

冷房管理されたオフィス内の事務作業のみであれば、基準に該当しない場合が考えられます。ただし、夏場の外回り営業や倉庫内作業、屋外イベントの運営などが基準を満たす可能性はあるため、作業の実態を確認しておきましょう。

エイジフレンドリー補助金は熱中症対策以外にも使えますか

はい、使えます。2026年度のエイジフレンドリー補助金には熱中症対策コースのほか、専門家総合対策コースとコラボヘルスコースが用意されています[19]。コースごとに対象や要件が異なるため、自社の課題に合わせて選んでください。

参考文献

[1]厚生労働省 富山労働局「職場における熱中症対策の強化について(令和7年6月1日施行)」

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職場における熱中症対策の強化について(令和7年6月1日施行) 職場における熱中症対策の強化について(令和7年6月1日施行)

[2]厚生労働省「エイジフレンドリー補助金」

厚生労働省
エイジフレンドリー補助金 厚生労働省の補助金制度であるエイジフレンドリー補助金について紹介しています。

[3]厚生労働省 鹿児島労働局「職場における熱中症対策の強化について~令和7年6月1日に改正労働安全衛生規則が施行されます~」

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職場における熱中症対策の強化について~令和7年6月1日に改正労働安全衛生規則が施行されます~ 「職場における熱中症対策の強化について~令和7年6月1日に改正労働安全衛生規則が施行されます~」を掲載しています。

[4]厚生労働省「令和6年『職場における熱中症による死傷災害の発生状況』(確定値)を公表します」

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令和6年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を公表します ~暑さ指数(WBGT)の把握、労働衛生教育の実施、発症時・緊急時の措置を徹底~

[5]環境省熱中症予防情報サイト「暑さ指数(WBGT)について」

[6]環境省熱中症予防情報サイト「暑さ指数(WBGT)の詳しい説明」

[7]厚生労働省 職場のあんぜんサイト「暑さ指数(WBGT値)」

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[8]厚生労働省「職場における熱中症予防情報(暑さ指数について)」

[9]厚生労働省「令和7年『職場における熱中症による死傷災害の発生状況』(確定値)を公表します」

厚生労働省
令和7年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を公表します ~休業4日以上の死傷者数は約4割増加し、統計開始以来最多となったが、死亡者数は約4割減少~

[10]e-Gov法令検索「労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)」

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[11]日経クロステック Active「熱中症対策の不備で拘禁刑や罰金も! 25年6月施行の規則改正の内容と理由」

日経クロステック Active
熱中症対策の不備で拘禁刑や罰金も! 25年6月施行の規則改正の内容と理由  気候変動の影響で熱中症にかかるリスクは高まっている。夏場の屋外や、高温の工場などで働く人も例外ではない。特に今夏は、熱中症対策強化が企業に義務付けられたので、...

[12]厚生労働省 法令データ「労働契約法」

[13]e-Gov法令検索「民法(明治29年法律第89号)」

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[14]日本経済新聞「企業の熱中症対策が義務化 不十分だと賠償金4800万円超の判決も」

日本経済新聞
企業の熱中症対策が義務化 不十分だと賠償金4800万円超の判決も - 日本経済新聞 海外で出張中に従業員が熱中症で死亡。会社は冷房の効いた休憩施設や塩分補給のための軽食を常備していた。遺族が会社側に損害賠償を求めた裁判の判決は4800万円超の賠償金...

[15]e-Gov法令検索「労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)」

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[16]環境省「熱中症環境保健マニュアル」(高齢者と子どもの注意事項)

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[17]環境省「熱中症環境保健マニュアル 各論(高齢者の注意事項)」

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[18]厚生労働省「エイジフレンドリー補助金 交付申請書類」

[19]厚生労働省・エイジフレンドリー補助金事務センター「令和8年度エイジフレンドリー補助金のご案内」

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[20]厚生労働省労働基準局・エイジフレンドリー補助金事務センター「令和8年度エイジフレンドリー補助金Q&A」

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